考えるバスケットの会メールマガジン バックナンバー
日時 | タイトル |
---|---|
2019/02/03(日) 21:20 | 正直にお話します。 |
中川です、
夜分遅くにすみません。
ただ、一つだけ
正直な想いを書かせてください。
かなり
突っ込んだお話もしますが、
どうか最後までお読みください。mm
・・
・
「怒るのではなく、褒めて認めよう」
こういう指導の流れを
最近耳にするようになりましたよね。
ただ、
結構な人が、
こんなふうに
思っていることも知っています。
「そんな甘い指導してて
強くなるわけねーだろ」
「怒らなくてどうやって
子供を引き締めるんだ?」
「競技なんだから
鍛えて頑張らせてなんぼだろ!」
当然、
こうゆうリアルな声は
あると思います。
単に優しい指導だけで、
競技として相手を上回るのは、
簡単な話ではありません。
実際、僕を中学時代、
全国準優勝まで導いてくれた、
恩師の小林先生は
ムチャクチャこわい先生でした。
正直、大人の圧で
怒られたこともある。
その度に、
背筋が伸び、
「あともう一歩」を
頑張れたところが間違いなくある。
あのとき、
ゆるゆるな指導を受けていたら
全国準優勝になんて
絶対になれなかっただろうと
思います。
今の子たちが
大人をどう見ているか
分からないけれど・・・、
あの時の大人って
僕の中では、凄く威厳があって、
恐いけどカッコよくてスマートでした。
小林先生は、
コートで怒ることもありましたが、
選手の自尊心を傷つけるような
罵声を浴びせたり、
頑張ってる選手を
腐したり、やる気を削ぐような
言葉がけをしたことは
一度もありませんでした。
先生は
いつだって僕ら生徒に
敬意をもって接してくれました。
そんな小林先生を
僕は今でも尊敬しています。
とにかく本気で
僕らの成功だけを願って、
向き合ってくれていたと
今振り返ってもそう思います。
...で話を戻します。
「中川さんは
いつも優しく
指導されていますよね。」
こんなふうに
よく言って頂きます。
ただ・・・
僕は今流行りの、
「褒めて認める指導」
に括られるのは
実はあまり好きじゃありません。
僕は褒めて認めている
だけではなく、
実は怒るときもあるんです。
それには確たる理由があります。
理由は二つ。
まず一つ目は、
バスケットに
かれこれ25年以上、
ずっと競技者として向き合い、
常に高みを目指してきました。
日本一に
10回なることが出来たけど、
日本一になることが
どれだけ難しいことか、
どれだけのことを
追求しないといけないか
肌で感じ、理解しています。
「バスケットは甘くない・・」
経験から本当にそう思います。
で、
「褒めて認めるだけで
万事オッケー」
と思わない
理由のもう一つを、
実際にあったケースで
お話します。
先日のブログでもお伝えした、
25年ぶりの快挙を成し遂げた
群馬の渋川高校、
僕は彼らに何度も
クリニックをさせて頂きました。
ただ・・
https://bit.ly/2sZoH4s
でもお伝えした通り、
最初は本当にひどいチームでした。><;
(本人承諾済み)
コーチの鈴木先生が、
ただただ怒る...
理屈もなく走らす、しごく。
楽しめている選手、
自発的に何かをトライしようとする選手、
一人もいなかったと思います。
みんな顔が下を向いていました。
鈴木先生の想いが空回りし、
毎年必ず部員が
辞めていっていました。
チームはバラバラで、
試合も毎回初戦敗退・・・。
そんなドン底のチームが
劇的に変わったのは、
鈴木先生の指導スタイルが
180度変わったからです。
それまでやっていた
選手を怒ることを辞め、
褒めて認めて、
努めてポジティブに
指導するようになったんです。
久々の彼らとの再会。
本当にこのチーム、
良くなってきましたねー!
「目標は何?」
「県大会優勝です!」
こんな希望に満ち溢れた言葉を、
目を見て真っすぐに言える集団に
渋川高校はガラッと変化していました。
「生徒全員が主体的に考え、
バスケットに取り組めるようになりました。
自分たちでどんどん目標も口にするように
なったんです。」
先生が心の底から嬉しそうに
話す姿が忘れられません。
そして、、、
彼らがいよいよ
インターハイ予選(夏の総体)に
挑むときがやってきました。
(負けたら引退・・・)
「中川さん、直前にもう一度だけ
クリニックをお願いできますか?」
僕は彼らに最後の
協力ができたらと、
5月に群馬県渋川高校まで
お伺いさせていただきました。
来たる大一番に向け、
仕上げの分解練習や、
5on5パッシングの
ブラッシュアップを行いました。
そして・・・
「最後にゲームを見て下さい!」
いよいよ締めのスクリメージが
始まった。
この子たちとも
これで最後かぁ・・と
なんだか感慨深いものがありました。
(チームに関わるってなんか良いなあ・・)
ただ、、、、、
この時の彼らのプレーが
壊滅的にヒドかったんです。。
主力で出ている5人が
とにかく冴えない・・
相手をしている下級生が
ガンガンに良いバスケを繰り広げ、
主力をどんどん引き離していきます。
「・・・(絶句)」
当然、バスケには波もあります。
プレーが妙に重くなり、
シュートも決まらず、
パスミスも増え、
ディフェンスのピックも悪くなり、
結果相手にどんどん差し込まれる・・・
何から何まで
うまくいかないときって
往々にしてあります。
それがバスケットだし、
「甘くない!」
と僕が感じている部分は、
まさにそこ。
ただ・・・・!
問題は
プレーが上手くいかないことでは
なかったんです。
僕はずっと
コートの状況を
見ていたのですが、
一向に選手が自分たちで
悪い流れを断ち切ろうとしない。
仲間のミスにも
見て見ぬふり・・
誰一人声を出すわけでもなく、
プレーのギアを上げるわけでもなく、
ただただ時間だけが過ぎ、
点差が離れていっている状況。
この日の主力の5人には、
何かが決定的に欠けていました。
バスケットって、
良くない時に
そのチームの真価が
問われると僕は思っています。
良くないときこそ、
自分のことじゃなく、
~~~~~~~~~~
仲間のことをどれだけ考えられるか。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
自分から声を出し、
働きかけられることだったり、
自発的にプレーのギアを上げたり、
リバウンドやルーズなど
自己犠牲を張れることが、
こうゆうときに
むしろ大切だと思っているんです。
(誰かが何とかしてくれるだろう・・)
人に頼ったり、任せたり・・・
コート内を盛り上げようと
外から声を張る仲間の声との
ギャップで、
何だかこの時の5人には
『GIVEの精神』が
圧倒的に足りていないように感じました。
そして、
その状況を当たり前と思っている・・・。
僕はこの時、
大切な話をしようと思い、
一度ゲームを止めました。
「ちょっと、一回集まろうか」
試合を止めて
集まってもらいました。
この時僕が伝えたこと。
「ドンマイ!ドンマイ!」
「もっとこうしよう!」
「チャレンジチャレンジ・・」
そんな言葉を言ったかというと
言ってません。
褒めて認めたかというと
褒めても認めてもいません。
いつも優しい言葉を
かける僕ですが、
このとき僕が
開口一番に発した言葉で・・
渋川高校のみんなは
本当にビックリしたと思います。
「お前ら、腐ったミカンかよ!!
ふざけんじゃねーぞ、おい!!」
このとき、
自分の内側にこみ上げてくる
ありとあらゆる感情を
そのまま言葉にして伝えました。
大人の圧で
子供たちの目を見て真っすぐに。
誰かが
その場面を
切り取って見たとしたら、
僕は完全に
怒っている指導者です。
それも延々30分、
ひたすらにやっているわけですから。
僕にはこのとき、
ある想いがあったんです。
自分の経験から
あのままいくと
この子たちは、
間違いなく大一番の苦しい場面で
上手くいかない絵が僕には見えたんです。
僕は本気で
日本一を目指してきたから
分かるんです。
彼らの成長、成功を
本気で願っていたから
絶対に伝えなきゃと思いました。
このままじゃ
上手くいかなことを、です。
「後からあのとき
ああしとけば・・・」
みたいな後悔を
彼らに絶対にして欲しくないと
思いました。
「高校バスケ、
最高の時間だったなあ・・」って
この先一生の宝物になるぐらいの
忘れられない時間に
して欲しいと思ったんです。
僕もプレーヤー時代の経験の
一つ一つが、人生の宝物だし
幸せにもつながっています。
「場と仲間を大切に出来ないやつは
コートに立つな!」
GIVEの精神がないチームは
絶対に勝てません。
コートサイドで声を出す
まわりの選手の想いだったり、
色んなものを犠牲にして
協力してくれる人たちだったり、
誰よりもこのチームのことを
考えている鈴木先生の想いだったり
そういう人たちを
大切に出来ないチームは
絶対に勝てない。
なんか彼らに
そんな人間になって欲しくなかったんです。
・・
・
僕はバスケットを
教えさせてもらう立場です。
わざわざ部外の人間が
チームの体育館に上がり込ませてもらって
バスケット指導をさせてもらっている立場です。
お金も頂く身分。
正直、相手はお客様なので、
気に入れられるために、
「ドンマイドンマイ」と
調子の良いことだけを言ってやり過ごし、
帰っていくことだって出来ました。
だけど・・
僕は彼らに
本当の意味で
成功して欲しかったんです。
このエピソードで
言いたいことは一つです。
コーチとして、
選手の成功に向け、
本気で関わることを
僕は何より大事にしています。
「怒る」=ダメ?
「褒めて認める」=OK?
というレベルじゃなく、
僕たちコーチは
選手のたった一度しかない
バスケット人生という
尊い時間に関わっている、
という自覚を忘れないことが
何より大切だと思っています。
そしてその時間の中で、
本気で選手の成功を信じ、
関わり続けることが
何より大切だと思っています。
「やり方じゃなく、在り方が大事」
これが僕がバスケット指導する中で
最も大切にしている価値観です。
・・
・
「中川さん、ご報告です!
25年ぶりのベスト8を達成しました!
あの時の中川さんの言葉で本当に変わりました!
選手たちは劣勢でも声を出すことを止めず、
最後まで粘り強く戦うことができました!」
これを聞いたとき、
涙が出そうになりました。
25年ぶりのベスト8!
ホントに良かったなって思いました。
色々ありましたが、
渋川高校はこうして
25年ぶり高校総体予選、
ベスト8を成し遂げました。
これが
彼らとのウソ偽りのない
本当のエピソードです。
ちょっと夜分遅くに
熱くなってすみません。
どうしても
伝えたかったことなので、
メールさせて頂きました。
これからも
選手を一番に、
本気の指導をしていきたいと、
自戒の意味も込めて
書かせて頂きました。
これからも頑張ります!
ここまでお読み頂き、
ありがとうございました。
中川直之
・・
・
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それでは最後までお読み頂き、
ありがとうございました!
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一般社団法人考えるバスケット協会理事長
考えるバスケットの会会長
合同会社コーチングマインド代表
Nao塾コーチングスタッフ代表
バスケットボールメンタルコーチ
日本スポーツ運動学会会員
日本実務能力開発協会認定コーチ
チームフローメンタルコーチ22期生
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